油絵の具の乾燥 収縮 画家の心得
画材の神さま
油絵の具は水彩絵の具の様に水分の乾燥=絵の具の乾燥では無く
乾性油が酸化して固まる事が絵の具の乾燥なので時間が掛かります。
塗られた絵の具の厚さや色によっても大きく乾燥時間には違いが生じます。
また、酸化乾燥の過程で絵の具は収縮しますがその程度も色によって違いがあります。
さらに同じ色(顔料)でも絵の具メーカーによって縮み具合が異なります。
絵の具は言うまでもなく描き終えた時の状態を保つのが望ましく
収縮が大きいメーカーの絵の具はNGです。
本来は顔料+乾性油で油絵の具になれば良いのですが
それだけでは絵の具の状態になってくれない色(顔料)もあるので
仕方なく加えられる体質顔料と言われるものがあります。
そこら辺のさじ加減などもあって乾燥時の様子に違いが出ることになります。
パレットに出すようにキャンヴァスに油絵の具を出して
1年程放置して見れば分かりますが厚い状態の絵の具は、
ちりめん皺が出て収縮した状態で乾燥硬化します。
その状態は当然ながら物質的に美しく無い品位を欠く
ものなので絵の中では避けなければなりません。
さて、一般的に油絵のイメージは厚塗りの絵だと思います。
厚塗りの絵の代表としてゴッホを思い浮かべる方も多いと思います。
ところが実際にゴッホの絵を観てみると思ったよりも厚く無いことが分かります。
絵の具が厚く塗られているのではなく、厚く使われている様に見える画面です。
ゴッホの絵に絵の具が縮んでちりめん皺が寄っているのは見たことが有りません。
これはゴッホが使っていた絵の具の素性が良いこともありますが
それ以上に重厚な効き目のあるギリギリの薄さで
描かれていることがポイントになっています。