絵の飾り方

芸術論とひとりごと

絵の飾り方について質問を受けたので少し書いてみます。

絵の飾り方

絵を飾るのには壁が必要です。
昔の日本は建築物に壁は有りませんでした。

柱と襖で構成されたフレキシブルな空間、襖を取り払えば部屋の広さを自在に広げることが出来た空間を
お洒落にしようと考えた日本人は壁そのものを絵にすることにしました。
襖絵などの障壁画はそうした試みです。

さて、現代では各部屋は壁で仕切られる作りになっています。
つまり絵を飾る場所は沢山ある訳です。
絵は額縁に収まっていますからどこにでも飾る事が出来ます。

欧米諸国は絵を飾るのにお決まりの場所、例えば暖炉のあるくつろぎ空間などに
お気に入りの一枚を飾ります。
その一枚は主人のアイデンティティーを表すものとして
来客との話題になったりします。

伝統的に壁の無い建物の時代が続いた日本ではそう言った感覚は根付いていませんが
絵が空間自体の雰囲気作りに有効である事は誰もが理解するところです。

さて、あなたはお気に入りの一枚を手に入れることが出来たとします。
どの部屋に飾るか、またどの壁に飾るか、迷われるかもしれません。
そんな場面での参考に先ず絵を飾るのに不適な場所を挙げて置きます。

直射日光は退色など絵にダメージを与える要素の一つです。
一日に受ける影響は僅かでもその影響が1年2年と積算されると大きな影響となります。
その他にも熱や湿度の変化が大きい場所は避けましょう。
また、飾る壁面には出来るだけ何も無い事も好ましい条件です。

絵は額縁に入って外界と隔絶されていますが、雑多なものが多い壁面は
絵の中身を見えにくくしてしまいます。

結論として、直射日光が当たらないスッキリとした壁面が良いと言う事です。

飾る高さについては、美術館、ギャラリーでは、画面の中心の高さを
床から135cmになる様に掛けるのが一つの標準になっています。
これは絵を観る人たちの目の高さを考えてのことです。
自宅の場合にはその絵を観る時椅子に座って見るのか、ソファーか、等考慮して
長時間対峙しても疲れない高さにすると良いでしょう。

壁に掛ける際は下の写真のXフックを使えば壁に空く穴は小さなもので済みます。

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Xフックは耐荷重性にも優れていて石膏ボードなど通常の壁であれば
絵を掛ける金具として最適です。画材店はもちろん最近ではホームセンターでも見かける様です。

照明まで用意できる場合にはスポットライトが欲しい所です。
額縁より一回り大きな照射範囲を得る事が出来る様にライトの種類や照射位置を決めます。
画面全体に均一に光を当てるのが望ましい訳ですが、大作でスポットライト一つでは
均一に照度を得ることが出来ず複数のライトを用いる場合には
下の図の様に右のライトは画面の左側に、また左のライトは画面の右側に
光を交差させるようにライティングします。

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もちろん鑑賞位置から見た時ライトの映り込みが無い様にしてください。

追伸

昔何かの本で「絵を観るには椅子が必要だ」と書いてあった事を思い出します。
私もそう思います。

参考→ 便利小物 Xフック

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