制作中の画面との対話
芸術論とひとりごと
エスキースはあくまでプランであり本番前にイメージを明確化させるために行う準備です。
出来るだけ詳細に制作の道筋が見えている事が望ましいのですが
本番制作が『エスキースの模写』になってしまうのはイケマセン。
制作途中に起きる事柄はプランからのズレやアクシデントや裏切りに満ちています。
そんな困った気配を計画通りの型に無理やり押し込んだままにしてしまうと
やがて絵は死んでしまいます。
画面=民衆の声 に耳を傾けず独裁のままやらかすと反乱が起きて体制が崩壊する様なものです。
そうならない為に画家は制作中画面のあちこちから聞こえてくる声に耳を傾けながら
常にこれから絵に起きそうな気配を察知しておかなければなりません。
画家 「どう?もう少し後でも大丈夫?」
画面 「もうそろそろこっちにも手を入れてくれ」
画家 「ちょっと、こことあそこの関係をバランスするまで待っててね」
画面 「早めに頼むよ、ここの所がもう限度一杯なんだ」
こんな風に画面全体に目配せしながら一意対応する事で
デリケートな生き物と会話する様に制作を進めます。
このやり方が『画面との対話』です。
実際に声に出してやってみましょう。
制作が生き生きしてくるはずです。
周りに人が居ても大丈夫、例え変な人だと思われても大した実害はありません。