絵の具の厚さ 『ゴッホの不思議』

芸術論とひとりごと
1月28日

1月28日

上の写真の絵の具は厚い所で4~5mmあります。

この厚さで塗ってしまうと乾燥する過程で絵の具の収縮により皺が寄ることは避けられないでしょう。

油絵は絵の具が厚く使われるイメージがあるかもしれませんが

実際にはそれほど厚い絵の具使いをするわけではありません。

例えば1mmの絵の具はかなり厚い絵の具使いと言えます。

さて、厚塗りの絵の具使いと言えばゴッホがイメージされると思います。

彼の絵の中の絵の具は縮んでちりめんじわが寄ったりしていません。

不思議だと思いませんか?

それはゴッホがそれ程厚く絵の具を使っていないからです。

厚く使うのではなく、厚く塗ってある様に見えるように描いています。

(中には3mm程度の厚い絵の具使いをしている絵もありますが厚さの効果と限界を探るためにやってみたのだと思います。)

もう一つはゴッホが絵の具の性質を熟知していたことで絵の具に皺を

生じさせないギリギリの厚さで描いているからです。

ゴッホの絵は下層に暗褐色の下書きがしてありその上に明度、彩度共に高い絵の具を乗せて

描かれていますから上層の絵の具の効き(鮮烈さ)は格別です。

この事も絵の具の見え方の厚みに大きく関与しています。

IMG_4943 のコピー

追伸

例えば油絵の具がどれだけ厚く塗っても縮んで皺にならないとしても

ゴッホはゴッホの画面以上に厚く塗る事はしません。

画家は必要十分を好み余分なものを嫌います。

それが作品の品位と見える速度の速さにつながるからです。

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