構図の不思議(画面意識)

芸術論とひとりごと

油絵でもデッサンでも描くときは予め画面の大きさを決めたところに描くでしょ?

このことに疑問を感じた事はありませんか?

人物でも静物でも描き始めてみてモチーフが一番良く描けたところでそれに合わせて

画面をトリミングした方が絵の出来栄えが良くなるのではないかという疑問です。

私も三十数年前まではそう思っていました。

ところがこれはそうでは無いんです。

以下に説明してみます。

私たちの日常生活で通常一番多く接する矩形は四角です。

絵は四角い画面に描く場合がほとんどですが、中には丸い画面に描かれた絵もありますし

壁画では扇形やその他の不定形を画面としたものもあります。

例えば丸い形の画面の中で上手く描かれた人物をそのまま四角い画面の中に持ってくると

いびつな形に見えてしまいます。

壁画などで扇形の画面の中で宙を舞う天使の形は、

そのまま四角い画面の中に持ってくると変な形になってしまうんです。

この様にモチーフを最も上手く描けたかどうかは画面の矩形と大きさに

最適化した描かれ方かどうかが大きく影響します。

画家が構図していくとき真っ白なキャンヴァスの中で頼りにする場所は画面の4辺です。

この事は形を捉える感覚訓練と密接につながっていますので

詳しくは 絵画実践プログラムSECTION1課題3  を参考にしてください。

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