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世界唯一の白亜地刻描の画家

Section1-3『墨汁の染みを描く』

Toyofumi Kaneko | 2012 - 03 - 04

はじめに

さて、今回は同じ紙の左側にモチーフがあり右側に画面があります。
同一平面上なので位置やかたちやトーンの違いも視線を動かすだけで確認できます。

モチーフを見て描く最もシンプルな設定です。
制作のポイントになるのは「かたちのとりかた」に関してです。

「不定形で平面物、しかもトーンの抑揚無しの黒一色」つまり一番簡単なモチーフです。
あなたが作ったシミも複雑な輪郭をしているはずですがそれが何故簡単なのかと言う所に制作時のモチーフの観方の秘密があります。

今回はスケッチブックにボールペンで15cm×20cmの四角を二つ書いて
片方をモチーフ用、もう片方を画面とします。

モチーフ用の四角の中に墨汁でシミを作って、それを描き写してください。
墨汁の乾燥を待って制作開始です。

●用意するもの

鉛筆 4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B
消しゴム  練りゴム スケッチブック(厚い紙) 擦筆
カッター テッシュペーパー  ボールペン 直定規
鉛筆の芯研ぎ(写真左上)←あるととても便利です(独)ステッドラー社製

●適切な環境

直射日光が画面に当たらない自然光空間。
もしくは昼光色蛍光灯の非常に明るい空間。
静かで集中できる環境で。

やってみましょう

『視線を左から右に動かすだけでモチーフと画面を見る事ができます。
モチーフは墨汁のシミですから不定形です。シミの位置やかたちを探して行きます。』

『何度も繰り返し位置やかたちを探して行きますので 最初から強い調子で
線を引いたりしないことです』
(課題1の強い線の痕を思い出してください)

制作を始めて間もなくシミの位置やかたちを探すのにボールペンで書いた四角の線が非常に頼りになる事に気が付くはずです。
ここで、定規で寸法を測って描くことは決してしないで下さい。
上達や大切な意識の芽生えの妨げとなります。

 

制作は全て「2箇所の比較」で成り立って行きます。かたち、明暗、色、等々の全てを比較して探して行くのです。そして今あなたが直面しているのはかたち(位置、ポジション)に対する比較の問題です。

”画面の端のライン”と”このシミの左の端のカーブ”、

『納得の行くまでかたちを探しかたちを決めるところに差し掛かりました』

『ここから先は、墨汁の黒の再現に鉛筆で挑みます』

当然ながら限界の濃い黒を作らなければなりません。
課題1でした様に、描いては擦り込んでを繰り返して行きます。

『完成した状態です』

『 部分』

『鉛筆の黒に光を反射させて見たところ』

課題を終えて

シミの位置、かたち、を画面の中に探すときに画面の端の線を意識しましたね。
これから立体物や人物などのモチーフを描くとき(モチーフを使わないで制作する場合)にも画面の端は常に意識しなければなりません。
この画面意識は絵画制作の上で最も大切な感覚のひとつです。

※色んなシミを作って何枚も描き絵画的な眼の使い方に慣れましょう。

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