絵画と記号

芸術論とひとりごと

下の図をご覧ください。
日本で育った人であれば持っている記号化された概念を簡単な図にしたものです。

富士山が描いてあると思われたのではないでしょうか?

では、次の図をご覧ください。

富士山より東側に住む人は富士山に夕日が沈むところと解釈し
富士山より西側に住む人は富士山から朝日が昇るところと答えるでしょう。
図は同じですが、見る人の捉える意味は異なります

このように記号は、見る人が持っている情報の受け皿を当てにすることで成立します。
記号は意味の抽出概念です。文字、数字は記号の代表的なものです。

 

デザインは記号の意味を尊重し、字体の選択や、文字の配置、大きさ、などを工夫して、意味の伝わり方の”ニュアンス”を表現します。
例えば、『マロヤカ』と『まろやか』では、ニュアンスがまるで違います。
書道もこの部分を延長した世界と言えます。
書を見るとき、日本人には「ニュアンスを乗せた文字」に見えますが外国人は「絵」としてニュアンス部分のみを見ることになるでしょう。
絵画は、さらにこの先のニュアンスを、徹底的に追求して、「唯一の感じ」の獲得をテーマとします。
本当に良い絵は、描いてある図に勝った特別のニュアンスを持っています。

関連記事一覧