季節比べ 変異の種

芸術論とひとりごと

夏と冬を比べてみれば冬の方が静かで窓外の雑音は少ない。

絵の具の乾燥は夏の方が早く冬は倍以上の時間が掛かる。

絵の具の物質的な品位は冬に軍配が上がる。

バルコニーで行う作業では、風が強い事が多い冬より夏の方が都合が良い。

日常の雑務は冬の方が少なく制作のソノリテが整え易い。

絵を描く前の準備の地塗り作業は夏場に限る。

こうして比べて行くと結局どちらが良いとも言えない気がする。

夏冬に限らず、春と秋を混ぜてみても結局どの季節が良いとは言えないのだろう。

盛夏の暑さを制作の邪魔に感じながら、

真冬の寒さに動作の鈍い自分にハッパを掛けながら

それぞれ環境に揺さぶられながら過ごしていく時間は

温度湿度その他一定の静的環境からは生まれ得ない、

適応順応の過程で育まれる制作の新種を変異出現させるきっかけにもなる。

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