絵画用語 『デフォルメ』について
芸術論とひとりごと
昨日マンテーニャの死せるキリストを載せたので絵画用語のデフォルメについて書いてみます。
デフォルメとは
「リアルを保ったまま(残しながら)或る特殊な感じが発生する様に形態を再構築すること」
を言います。
マンテーニャの死せるキリストはデフォルメの素晴らしい成功形です。
鑑賞者の視線はキリストの臨終の場に駆け付けた使徒の様に先ずキリストの顔に導かれます。
傍らには涙をおさえるシスターの姿、そして視線は悲しみに包まれた空間を
奥から手前へ冷静さを取り戻す様に引き戻されるでしょう。
キリストの足元に立ち戻った鑑賞者は、足や手の傷、衣のしわ等ほかの部分を見ながら
いつの間にかまた循環の起点である顔に誘われます。
これらの視覚効果は足から腹部までの空間をギュッと圧縮した
逆パースの様なデフォルメの成功によってもたらされています。