「認識よりも速くお届け完了」

「認識よりも速く伝える絵

視覚情報は光にのって網膜まで届き、そこから視神経によって脳に送られます。
脳に送られた視覚情報は記憶との照合がなされます。
この脳の検索照合作業は非常に高速です。

通常人間の脳は以上の処理が終わったものを見ています。
例えば、「知っている人だ、知らない人だ、飼っている猫だ、
知らない猫だ、うまそうだ、きれい、好き、嫌い、危険、」等々
全ては脳の中に蓄えられている記憶のフィルターを通して感じられるものです。

私が最も大切にしている事の一つは、
絵が伝わる速度をどれだけ速くすることが出来るかです。
脳の検索照合作業(対象の認識)は非常に高速ですが、
ほんのわずかながら時間が掛かります。
このわずかな間の脳は、やって来た視覚情報を何の思い込みやフィルターも通さず
ありのままにピュアに捉えている瞬間なのです。
「絵にとって勝負はこの時間に特別な情報を伝えきることです」
この瞬間に情報を伝える最速の乗り物が美なのです。
美に乗せた特別な情報は脳の一番深い領域まで一気に辿り着くことが出来ます。

私の絵をご覧になった方々が、「わぁー、猫だ、かわいい」と思われるのは
もうすでに一番大切な、癒しの情報を美に乗せて心の奥にお届けした後のことになります。

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