「油絵の具の使い方 3.色はそれぞれ違う物質」

画材の神さま

「色によって違うこと」

1.乾燥速度
油絵の具の乾燥速度は色によってかなり違います。
同じ厚さに塗っても数日で乾くものから数週間乾かないものまで様々です。

2.隠ぺい力
絵の具を混ぜたときに感じられるのが、各色の隠ぺい力の違いです。
例えばイエローオーカーに同量のシルバーホワイトとチタニウムホワイトを
混ぜた時、チタニウムホワイトと混色した方がより白っぽくなります。
隠ぺい力は、シルバーホワイト < チタニウムホワイト
色によってかなり違いますので使いながら慣れましょう。

3.完燥後の堅牢さ及び固着力
絵の具が乾燥して固まった後の しっかりくっ着き度 も色によって異なります。
固さの中に粘り気がある様に感じられたり、固くてもろい感じだったり様々です。
基本的に同じ乾性油で練り上げてあるに不思議ですね。
ちなみに全絵の具のなかで一番堅牢なのはシルバーホワイトです。

4.乾燥後の状態
主に厚塗りした時に問題となる事ですが、
乾燥して固まる過程で絵の具の収縮度にも違いがあります。
多くの透明色は単色で厚塗りすると表面に収縮による皺が寄ります。

5.値段
油絵の具の値段は各色ごとに違います。
使ってある顔料によって価格の幅は数倍から10倍近くになります。

昔、ウルトラマリンはラピスラズリ(宝石の一種)を
砕いて顔料としていたため大変高価でした。

油絵の具には色によって以上の様な違いがあります。
チューブに入って画材屋さんですまし顔の絵の具達の中身は個々様々です。

絵の具メーカーは、性質の違う顔料達を何とか同じ使い勝手の表情に仕上げようとします。
世界中のあらゆるものの中からとりわけ美しい発色を持つ物質、
顔料を選び出した努力の結晶が油絵の具です。

そして地球上の最も美しい発色を持つ物質が最後に定着される場所が画面なのです。
画家は絵の具に更なる品位を与え、必ず美しい絵を描かなければならない責任を負っています。

関連記事一覧