「筆を育てる」

画材の神さま

硬い毛(豚毛)の筆
白くて硬い毛は豚の毛を使った筆です。
油絵を描かれる方が一番普通に使われる筆だと思います。

古典技法(テンペラ)などの場合には柔らかい毛の筆を使うことになりますが
いずれの場合にも画面(キャンヴァス、板、などの支持体)に
どの様に絵の具を付着させて行くか、その用途に合わせて使う筆を選びます。

さて、話を元に戻し、豚毛の筆では制作中どれだけタフな使い方をしても
毛が折れたり抜けたりするものは失格です。
キャンヴァスに絵の具を擦りつけて毛が折れそうな位に
絵の具を無理やり押し延ばす様な使い方をしても、
制作後テレピンで絵の具を落とし、石鹸とぬるま湯で丁寧に洗って、
筆立てに一晩休ませたら又翌日はシャキッとした状態に戻らなければなりません。

また、買ったばかりの豚毛の筆は使いにくくて当たり前です。
豚毛の筆は画材屋さんで売られているものが完成品では無く、
あなたの使い方でオリジナル筆として仕上げて行くものだと思ってください。

下の写真は30年余り前から使っている豚毛の筆です。
最近は出番が無い筆達ですが、左側は丸筆、右側は平筆で
使われ方に応じたすり減り方を経ています。
butage

毛がすり減ってしまった筆も、その筆にしか出せない効果があるので各シーンでは自然に手が伸びる無くてはならない一本になります。

追伸 最初は使いやすい様でも直ぐに毛が折れたり抜けたりしてダメになる筆メーカーもありますのでご注意下さい。

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