制作の日常 半分は捨てるつもりで

画材の神さま

油絵の具は買った絵の具の半分は捨てる位の気持ちで使いましょう。
パレットの上で固まってしまったり、筆に付いたまま洗い落とされる分や、
一旦画面に乗せた後、拭き取ったり削り取ったりする分を考慮に入れると
実際に画面上に残る絵の具はだいぶ少なくなります。

絵の具を画面に、付ける、塗る、乗せる、置く、擦り込む、
絵の具を画面から、拭き取る、削り取る、剥がす、

油絵の具が最終的に画面上に固定されるまでのやり取りの幅は
他の絵具に無い多様性を持っています。

これは、絵の具が乾くまでに時間が掛かるおかげで、
その間に絵の具を画面上で動かして色々な表情を作り出すことが出来たり
一旦乾燥した上に加筆しても絵の具が溶け出さない特性を持っているからです。

そうして作り出された色は、例えばコンピュータモニターでの
フルカラー1677万色をはるかに凌駕する一意の色味です。
人間の目のセンサーとしての能力は素晴らしく、
物質感を伴った色の場合、桁違いの識別能力があります。

パレット上で混ぜた色を塗って終わりではなく、よりジャストな色味を目指して、
画面上で絵の具を動かすのが油絵の具を生かす使い方です。

その結果画面上に残る絵の具が少なくなるのは制作の中で闘った証とも言えます。

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