美術解剖学

芸術論とひとりごと

人体を描くときに理解しておいた方が有利なのが美術解剖学です。

人体の表面は皮膚に覆われてその下には筋肉があって

その奥は骨格があるのは皆さんご存知の通りです。

勉強の為にまずは、身近な普通の体形の人にヌードになってもらい

光を一点から当ててみてください。

※光源は出来るだけ離れた所から強い光を当てる様にしてください。

女性であれ男性であれ皮膚の表面には色々な陰の出来方が観察できるはずです。

とても滑らかな陰の出来方であったり、内側から張り出すような強い表情の部分もあります。

前者は脂肪層の厚いところですし、後者は筋肉であったりより強い張り出しの陰の部分では

皮膚のすぐ下に骨が迫っていたりします。

さて、ここからは美術解剖学の実際についてです。

まず、美術解剖学の本を手元に用意してください。

IMG_4714

この時は未だ本の中を見てはいけません。

画家にとって望ましい学びの順路は以下の通りです。

ヌードモデルを実際にクロッキーする(できなければ眼で観察する)→

→ 注視した場所の皮膚層の下を想像してみる→

→ 筋肉や骨がどうなっているかをしっかりと想像した後→

→ 美術解剖学の本を開いて確認する。

IMG_4712 のコピー

解剖学を知っていることは、モデルの個性やライティング等の状況によって

変化して見えてしまう様子に惑わされ、絵の中の人体のフォルム(形)を

歪ませないための予防線として役立ってくれます。

人間というフォルムが持っているスタンダードな構造を理解しておくことは

実際の観察では見えないところを補完して描く事を可能にします。

ダビンチやミケランジェロなど画題が宗教上の人体の様子を描く事が多かった画家たちは

そういった必要性から必然的に人体の中身に眼を向けたのです。

制作の中で人体への理解が相当に深まれば、実際には空を飛ぶ天使は存在しなくとも

「空を飛んでいるときの人体はこうなるはず」という脳に蓄えられた

情報だけで描く事も可能になります。

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