『デフォルメ』についての説明

芸術論とひとりごと

絵画制作でのデフォルメは子供が砂の山に棒を立てて遊ぶ山くずしに似ています。

遊び始める時の砂山に棒を立てた状態が、描くモチーフの現実の状態だと思ってください。

砂山に立っている棒はモチーフのリアリティー(現実感)で周りの砂はモチーフの諸要素です。

リアリティーを支えているモチーフの要素(砂)を取り過ぎると棒は倒れます。

棒を倒さない様にうまくモチーフを操作するのがデフォルメです。

デフォルメが山崩しと異なる点は、取り去るだけでなく、

一旦取った要素を再度モデリングし直して山の形を変えるところにあります。

実際にデフォルメに取り組んでみると、

現実を支える要素はデリケートで、どの部分も

深く関係し合っていることがわかるはずです。

良い絵はモチーフをそのまま描いてある様に見えても

どのようにかデフォルメされているものです。

それは、ごく自然に見える範囲から、マンテーニャの死せるキリストの様な

きわどい所まで様々で、その絵の特別な感じを支えています。

追伸

単にイビツになってしまうのはデフォルメではありません。

絵の内容に対してプラスの効果を生む状態になって初めてデフォルメしたと言うことが出来ます。

関連記事一覧