「油絵の具は色ではなく物」

画材の神さま

油絵の具は色ではなく物

「油絵の具は色ではなく物」である意識を持って接することは大切です。

ご存知の通りチューブから出した油絵の具は硬めのペースト状をしています。
各絵具メーカーはこの状態にするためにいろいろ添加物を足したりして(工夫?)をしています。

油絵の具は顔料+乾性油(ポピー、リンシード油など)で作られるのが基本ですので
試しに顔料と乾性油を練り合わせてみればわかりますが、
見慣れた絵の具の状態になってくれるものは少数派です。
(顔料:乾性油はおおむね 8:2 位です)

パレットの上でちょっと混ぜ合わせた位では絵の具練りにはなりませんから
覚悟して肉体労働的に練り合わせないといけません。

顔料、乾性油、練り具

顔料、乾性油、練り具

数色試してみればわかりますが、同じ比率の顔料:乾性油であっても
練りあがりの様子は顔料によって異なります。

一方絵の具を使われ方の側面から見てみると
水彩絵の具は紙に半ば染み込んで定着しますが
油絵の具は、キャンヴァスの種類によってキャンヴァスに染み込み気味だったり
キャンヴァス上にボリュームを持った状態で乗ったまま固着したり、
その使われ方は多岐に渡ります。

各絵の具メーカーは、顔料+乾性油+体質顔料(絵の具の状態にする為の添加物)
の比率や練り方、熟成させ具合など様々なノウハウを持っています。

画家は、色味、練り具合、固着乾燥後の物質感、
などを総合的にみて使う絵の具メーカーを選ぶことになります。
私は30年前に、全ての絵具メーカーの絵の具を買い集め
比較して自分が使う絵の具を選定しました。
その後新しくお目見えした絵の具も随時比較検討しています。

現在、松田スーパー油絵の具(ポピーオイル使用)が世界最高品質です。
私が通った東京芸術大学では乾性油に関して、
ポピーオイルよりリンシードオイルの方が優れていると教わりましたが
それは間違っていますので念の為。

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