【第3話】しごとは音楽と共に

言葉のスケッチ

真夏の地塗り作業の傍らここの所かけないCDに手を伸ばしてみると
なるほどこれは暑い。
無意識にジャズを避けていたのに合点がいった。

私は制作のほとんどの時間を音楽と共に過ごす。
何の知識も系統も無いまま手元に集まった数百枚のCDのうち
制作中BGMとなるのは20枚位だろうか。
それらは演奏時間が1時間程度のものがほとんどだ。
これはCDを何回聴いたかでその日の制作時間の量が体感できて都合が良い。
制作中音楽を聴いているわけではないが雑音を消してくれて、
何とかの犬の様に「鈴を鳴らせばよだれを垂らす」式に
「この音楽をかければこう云う制作態度になる」とするのに役立ってくれている。

いつだったか川崎大師で聞いた護摩修行の祈祷の読経がとても良かったので
「CDになっていませんか?」と尋ねたら「ございません」と言われてしまった。
また或る時、総本山と名の付くお寺数箇所に「あのー、ご祈祷、お経のCD、、、」
と電話で不得要領にやってもみたが似たり寄ったりの結果に終わってしまった。
目下次回の問い合わせ一念発起のタイミングを待っているところである。

また、寝る事がしごとの様な猫達にもそれぞれ音楽の好みがあっておもしろい。
12年前に居た黒猫のジノはバッハの小フーガト短調
(オルガン演奏カールリヒター)がお気に入りだった。
今居るネオはルービンシュタインが弾くショパンのノクターンをかけると良く眠れるようだ。

そして一昨年の春急逝したイオンは大好きだったキャノンボールアダレイ「枯葉」のCDを抱いて庭に永眠っている。

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