section1-4『逆さまのあを描く』

絵画実践プログラム

はじめに

逆さまですがひらがなの「あ」がモチーフなのであなたの頭の中で「逆さまのあだ」と思う瞬間があるかもしれません。 その瞬間に脳の記憶の部分がモチーフを在りのまま観ようとするあなたの目を邪魔します。

モチーフを目にして「花だとか顔だとか」思ったら要注意です。

今回もスケッチブックにボールペンで15cm×20cmの四角を二つ書いて
片方をモチーフ用、もう片方を画面とします。

そしてモチーフになる方に「あ」を逆から書いてそれを描いてください。

用意するもの

鉛筆 4H、3H、2H、H、F、HB、B、2B、3B、4B
消しゴム  練りゴム スケッチブック(厚い紙) 擦筆
カッター テッシュペーパー  ボールペン 直定規
鉛筆の芯研ぎ(写真左上)←あるととても便利です(独)ステッドラー社製

適切な環境

直射日光が画面に当たらない自然光空間。
もしくは昼光色蛍光灯の非常に明るい空間。
静かで集中できる環境で。

やってみましょう

『基本的には課題3と同じ内容ですがモチーフが逆さまになった文字なので
課題3で訓練したモチーフの観方の邪魔をするかもしれません。』

課題3でした観方でモチーフを観て、画面の中にかたち(ポジション)を
探して行きます。

最初はごく淡いタッチから、観た関係を記す事を繰り返し、
ようやく画面の中にかたちが見えて来ました。
ここまで相当な時間を使っています。

ここから先は鉛筆を限界使用し墨汁の黒の再現を目指します。

『完成した状態です』

※ 拡大したところ

課題を終えて

シミをモチーフに描く時と同じ感覚で描くことが出来たでしょうか?
今度は正位置で他のひらがなを描いてみてください。

※他のひらがなと言ったのにも理由があります。
一度描いたことがあるものはその時の記憶がいわば版画の版の様に思い出され、
一期一会の目で制作することの妨げとなるからです。

文字の様に固有の意味があるものを不定形のシミを観て描くのと同じ意識で描く事が出来る様になったら課題4までは卒業です。

課題3、課題4でメインにした「比較してその関係をありのままに見る観方」はこれから一生涯使い続ける感覚です。充分に繰り返し練習しましょう。
そして普段の生活のなかでも眼の訓練として実践する癖をつけてください。

続く課題5ではトーンの濃淡や質と云った新しい要素が加わります。

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