ニューヨーク珍道中1日目

言葉のスケッチ


10月29日(火)
早朝JFK空港に独り降り立った私は知らない街で親とはぐれた3歳児の様でした。
マンハッタン島までは地下鉄で行くことにきめていた私の英語力は小学生レベルです。
先ずは空港ターミナルからエアトレインに乗ってジャマイカステーションまで行きますが
トランシーバー持って関係者っぽく近づいて来た黒人に怪しい乗り場を教えてもらったり
今までの不勉強のおかげでスリル満点です。

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ジャマイカステーションに着くと今度は改札で清算とメトロカードを
どう買えばいいのかがわかりません。
同じような状況の旅行客があちこちにいますが、一人また一人とその場を通過していきます。
みなさんわからないのは清算とメトロカードだけで英語は堪能でいらっしゃる。
小腹が空いても何か買って食べる余裕など無し、そのまま何とか地下鉄に乗り込みました。
マンハッタンのペンステーションまで数十分、大きなスーツケースをゴロゴロ引きながらの移動は
誉めたものではありません。

ペンステーションの改札を出て階段を上がりながら
視線を上げた私の目に飛び込んできた最初の景色がこれです。
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地上に出て「来たな」と実感しました。
行きかう人々と車等が作り出す朝の音、顔、色、はバリエーションに富んでいます。

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普段日本の生活で街中いたるところにある日本語の文字が無い景色は
私の脳に「読み上げ」をさせない点でジャングルの中にいるのと同じ状態にしてくれます。
普段言語に邪魔されてしまう脳の動作が、英語がわからないお蔭で
文字は記号となり意味をアピールして来ません。
分らないから味わえるこの感覚は言語がわかるようになってしまえば味わうことが出来ないものです。
貴重なのでよく覚えておこうと思いました。

さて、2か月前に私が「よし、行こう」と決めてからした準備は、マンハッタン島の地図の暗記です。
片言にもならない英語のお勉強は無駄と判断し一切無し。
その代りマンハッタンの何処にいても迷子にならない様に主な場所の位置関係は
頭の中に入れてあります。
現在位置と目の前のエンパイアーステートビルから自分のホテルがどの方向に
どれくらい歩けば良いのかはわかっています。
颯爽と歩き始めた私は動き始めたばかりの朝のニューヨークの空気を深く吸い込みました。
とりあえず荷物をホテルに預けてから今日の行動を決めようと思っていた私は
未だ午前中にもかかわらずチェックインさせてもらいやっと一息つくことが出来ました。

部屋からの眺め

部屋からの眺め

その後一旦ギャラリーに展示の様子を確認しに行き、初日は時差ボケでもするかなー
と思っていたのに何とも無し、時間を持て余して何となく散歩したりしながらホテルに戻ってみると
これからの1週間が全くのノープランだったことに改めて気が付きました。

真夏から続けた地塗り作業に出発間際まで追われ準備らしい準備もしないままやって来て
今時珍しい手動式エレベーターのプチホテル
その一室で明日からの計画を練りはじめる私。
窓の外にはもうすぐ夕暮れの街の音、そして今朝も見上げたエンパイアーステートビルの佇まい。




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