置き換えではつまらない

芸術論とひとりごと

絵を描く事が現実の置き換え作業ではつまりません。

その理由は現実では各情報同士が美の関係からずれているからです。

例えば女性の持っている或る美に対してのアプローチをするとします。

光学的な全情報の中にはその女性の持っている美に反目する情報もあります。

現実よりもより美しくなければ絵を描く意味はありませんから、

足りない所は補完して、また邪魔な情報には大人しくしてもらう操作が行われます。

画家は美を追求する自然な感覚の中で無意識にこれらの情報処理を行っています。

この情報処理全般は「イメージ」と呼ばれますが、

イメージは最終的に画面上の絵の具に変換されて定着します。

描き始める前は曖昧さを含んだイメージですが、

画面の上で一意の表情に定まって行く明確化が成されることが重要です。

そしてピタリと一点にバランスした最も望ましい相互状態を

ヴァルールが合っていると言います。

ヴァルールが合った画面は明確で、鑑賞者に伝わる速度が速いものです。

当然ながら画面内の相互関係は美の比率になっていて見飽きません。

以上の様に現実の情報を操作しより良いものに再構築するが画家の仕業です。

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